top of page
  • 乙原李成/Otohara Risei

東京日日新聞をめぐる人々(2023/11/11)

明治5(1872)年2月21日(旧暦)日報社が創刊。早くから鉛活字と西洋紙を使用。創刊の2年後に銀座へ移転した時、すでに8千部を売り上げたという。(『日本新聞発達史』)

戯作者条野伝平(採菊)(1832-1902)、浮世絵師落合芳幾(1833-1904)、貸本業西田伝助(1838-1910)の共同発行。購読料は1部140文、1か月だと銀20目(匁)。その頃あった新聞茶屋では見料2厘プラス茶代5厘、新聞縦覧所では1時間5厘かかったという。(『毎日新聞百年史』)

『太政官日誌』(明治9(1876)年12月廃刊)と『官報』(明治16(1883)年7月2日創刊)のつなぎとして機能。明治政府から月額約1万円の補助金をうけていたという。経営不振により、明治44(1911)年『大阪毎日新聞』に売却された。(『新聞史話』)


以下生年順に紹介。


岸田銀次(吟香)(1833-1905)美作国の百姓の家に生まれる。大坂へ出て、緒方洪庵に学ぶ。幕末の横浜でヘボンと和英辞書を編纂。『海外新聞』『横浜新報もしほ草』を共同発行ののち、1873年日報社入社。自ら販売する目薬の広告でも知られる。息子は洋画家の岸田劉生。


福地源一郎(桜痴)(1841-1906)長崎の儒医の家に生まれ、漢学、蘭学を学ぶ。幕臣として遣欧使節に派遣された経験が、のちに生かされた。1868年『江湖新聞』を発行したが、明治政府から取締りを受ける。1874年大蔵省を辞職して、日報社入社。1876年から1888年まで社長。著述多数。九世市川団十郎の演劇改良運動に参加。1889年歌舞伎座建設に、千葉勝五郎とともに出資。福沢諭吉と並び称された知識人。晩年に衆議院議員当選。


塚原靖(しずむ)(渋柿園)(1848-1917)江戸市ヶ谷合羽坂上の幕臣(与力)の家に生まれる。明治維新により、徳川慶喜に従い塚原家は静岡移住。1872年上京、英語を学んだのち、1874年『横浜毎日新聞』入社。翌年讒謗律違反により罰金及び自宅軟禁に処せられる。1878年日報社入社。1907年から1909年にかけて、それまで発表した新聞小説をまとめた『渋柿叢書』(左久良書房)10巻を出版。代表作に『由井正雪』など。


関直彦(1857-1934)紀伊藩士の家に生まれる。帝国大学卒業後、日報社入社。1888年から1891年まで社長。弁護士。陸奥宗光の側近として、衆議院議員10期当選。


伊東巳代治(1857-1934)長崎出身。伊藤博文等とともに、大日本帝国憲法の草案作成。第2次伊藤内閣の内閣書記官長。枢密顧問官。1891年から1904年まで日報社社長。大正の関東大震災からの復興予算案や昭和初期の金融恐慌後、台湾銀行救済のための勅令案に反対するなど、毀誉褒貶が多い人物として知られる。


加藤高明(1860-1926)尾張藩士の家に生まれる。帝国大学卒業後、三菱入社。1886年岩崎弥太郎長女と結婚。1887年外務省入省。1904年から1906年まで日報社社長。1911年駐英大使時代に日英同盟締結。1913年立憲同志会総裁。1914年第二次大隈重内閣の外務大臣では対華21か条の要求。1914年護憲三派組閣。


岡本敬二(綺堂)(1872-1939)東京高輪、英国公使館勤め(元幕臣)の家に生まれる。1890年日報社入社、塚原渋柿園に師事。1911年二世市川左団次による『修善寺物語』(鎌倉幕府第二代将軍が登場する時代物)が好評を博した。1917年『文芸倶楽部』(博文館)に発表した「半七捕物帳」は、1936年まで連載(掲載誌は『講談倶楽部』(講談社))され、「捕物帳」ジャンルの最初として読み継がれている。


参考

毎日新聞社ホームページ-毎日新聞のあゆみ(2023/11/10閲覧)

https://www.mainichi.co.jp/company/co-history.html


日本掃苔録-関直彦(2023/11/10閲覧)

http://soutairoku.com/07_douzou/14_se/seki_naohiko.html


小野秀雄『日本新聞発達史』(大阪毎日新聞社1922年、五月書房1982年)

福地源一郎「新聞紙実歴」『明治文化全集』第17巻(日本評論社1928年、日本評論新社1955年改版(第4巻)、初出『懐往事談』(民友社1894年))

内川芳美『新聞史話』(社会思想社1967年)

『毎日新聞百年史』(毎日新聞社1972年)

伊藤整「近代日本の作家の生活」『近代日本人の発想の諸形式』(岩波書店1981年、初出『文芸読本』(新潮社1956年))

塚原渋柿園、 菊池眞一『幕末の江戸風俗』(岩波書店2018年)

岡本綺堂、今井金吾『風俗江戸東京物語』(河出書房新社2001年)

閲覧数:0回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page